完成後のコストも抜かりなく計算

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家づくりは、「建ててしまえば、それで終わり」ではありません。

 

本当の意味での家づくりの成功は、家族の「将来も含めた、生活の質や豊かさ」で測るべきだと考えています。

 

ギリギリの予算を組んで、どんなに素晴らしい家を実現しても、建てたあとの生活を貧しいものにしては成功とはいえません。住まいは、建てることそのものが目標ではなく、あくまでも家族の生活を豊かにする手段でしょう。

 

「住」だけで暮らしのすべてを満たすことはできません。そこには、「衣」や「食」はもちろん、「ご家族の関係」「健康」「子育て」「老後」「仕事」「趣味」など、考えておくべきいろいろな生活のシーンが加わります。ご家族によって、生活のスタイルや流儀、価値観もさまざまです。年月とともに、ご家族そのものも変化します。光熱費や税金などの日々の生活コストの問題もあります。

 

家づくりを本当に成功に導くために、「将来の生活に配慮したコスト意識を持つ」ということを強く意識しましょう。わざわざ生活の質を落としたり、生活の選択肢を狭めてまで立派な家を建てる必要はないと思うのです。要するに、「余力を残して」資金プランを立てることこそが成功の秘訣ではないでしょうか。

 

もう一つ考えておきたいのは、住まいのメンテナンスにかかわることです。

 

二〇年、三〇年と住めば、住まいは必ず傷んできます。どんなにいい家でも、老朽化や細部の不具合の発生は避けることができません。住み続けるにつれて、修繕やリフォームはもちろん、大幅な改築が必要になることもあります。将来に生じるそうした問題は、できるだけ小さくするに越したことはありません。

 

そこで見逃してならないのは、次のような点です。

 

基本的な構造にかかわる部分がしっかりした家と、そうでない家とでは、将来のメンテナンスにかかる総費用が大きく異なります。軽症ですむのか、それとも巨額の出費を伴うものになってしまうのか。おそらく、その差は何百万円以上もちがってくるはずです。この負担は、とくに老後の生活を圧迫するにちがいありません。

 

とくに基礎や躯体部分が弱ければ、将来のメンテナンスにかかる経費はどんどん膨張します。最悪の場合は、ローンを払い終わる前に建て替えという事態を迎えるかもしれません。

 

まずは、構造や基礎にかかわる部分にしっかりお金をかける。

 

希望のデザインを活かすためにも、最初に基本構造や性能をしっかりさせる。取り替えがきく設備やインテリアなどは、あとから少しずつグレードアップしていけばよいのです。

 

生活の質を高めることと同時に、それを長く保てるかどうか。家の本当の価値は、それで決まっていくのです。