「いくらかかるか」より「どこに、いくらかけるか」

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低予算でも、テーマや構成、脚本がしっかりした作品には、巨額の製作費をかけた大作にはない魅力があります。

 

家づくりにも同じようなことがいえると思います。

 

お金のかかった立派に見える家が必ずしもよい家ではない場合があります。見た目の派手さの裏に、欠陥や不具合が隠されてしまうケースもあります。逆に、低予算で建てたよい家はいくらでもありますし、一見、地味ながら快適さがいっぱいつまった家もあります。

 

お金をたくさんかけなくても素晴らしい家を実現すること。それが家づくりの醍醐味でもあるのです。

 

テレビや雑誌で紹介される家は、どれも美しく魅力的に映ります。

 

こんな家に住めたらいいなあ、こんな設備があったらいいなあ、などと夢がふくらみます。アレもコレも欲しいけれど、予算内で、いったいどこまで満足のいく家を実現できるだろうか。そんなふうに考えるのは当然のことです。

 

しかし、全体の数字だけを見ていると、肝心の家づくりのテーマが先に進まないことがあります。あるいは現実との「妥協点」を探すこと自体が家づくりのテーマになって、バランスを欠いた完成度の低い家になってしまうことも起こります。

 

そうならないためには、全体のたたずまいや内部のつくりはもちろんですが、まず基礎や構造といった、表からは見えない部分を見る。そこによい家の本質の多くが隠されていると考えるからです。さらに、自分の暮らしと本当にマッチしているかどうか、器の美しさや魅力が、本当に家族の毎日の快適さと結びついているかどうか?

 

「どこに、どれだけお金をかけるか」

 

コストを考える際に一番大切なのは、この点です。どの部分を優先して、どの部分で削るのか。それを家づくりの前提にすることで、大きな枠組みやシナリオが自然に浮かび上がります。使える金額と使い道を細部にわたって数字としてつかむように心掛けると、設計や工事の段階で生じる問題点や修正方法も自然に見つけやすくなります。

 

逆に、「どこに、どれだけお金をかけるか」があいまいなままですと、予算の配分にメリハリがなくなり、自分が本当に実現したいイメージやテーマからずれてしまうことも起こります。