リノリウムのメンテナンス

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リノリウムの特徴は適度な柔軟性とクッション性です。これによって快適な歩行感覚が得られるほか、抗菌性に優れ、床面を衛生的に保つことができます。そのため、住宅以外に病院や老人ホーム、公共施設、学校などで採用されています。

 

また、耐熱性が高く導電性もあり、静電気によるトラブルを防ぎますが、その反面、アルカリ性の洗剤によって変色したり、表面が荒れてしまう恐れがあります。

 

1)床の土や砂、ほこりを除去します。

 

2)汚れが付着している場合は、中性床用洗剤を含ませたモップなどを利用して床面を拭き上げ、汚れを除去します。歩行量の多い場所や汚れのひどい場所では、自動床洗浄機に中性床用洗剤を入れ、白パッドを装着し、床面を洗浄します。

 

1)床面の汚れを除去します。

 

2)新規床材の場合、中性床用洗剤を床面に塗布し、約5分程度放置してからポリッシャーに赤パッドを装着し、床材表面の汚れの除去を行います。

 

3)既存床で古い塗膜がある場合、剥離剤を用います。目立たない床の隅でテストをし、ダメージがない場合は、(1)アルカリ性剥離剤を、ダメージが心配される場合は(2)中性剥離剤を使用します。

 

(1)アルカリ性剥離剤を使用する場合/やや薄めのアルカリ性剥離剤(10~20倍希釈液程度。過去に塗布された仕上げ材の堆積状況により異なる)を床面に塗布し、古い塗膜を除去します。

 

(2)中性剥離剤を使用する場合/中性剥離剤を床面に塗布し、茶パッド装着のポリッシャーで古い塗膜を除去します。1)スクイージやちり取りなどで床面の汚水を回収し、きれいな水ですすいだモップで拭き上げます。2)床表面が完全に乾燥したら、仕上げ材を塗布します。

 

パッドの選択基準は一つの目安ですので、パッドの選定の際に汚れに応じて適宜対応して下さい。もちろん床材を削るほどのパッドの使用は避けます。また、塗り重ねる際、過去に塗布された仕上げ剤が新しい仕上げ剤と密着不良を起こす可能性がありますので、塗り重ねの際には密着の確認を行います。また、石油系のモップ処理剤は、リノリウム床面に残留し、黄変の原因となるので使用は避けます。

 

剥離作業は、定期管理で除去できない汚れや古くなった仕上げ剤の塗膜を除去し、清潔で美観の高いリノリウム床材をつくるためのもので、1年に1回程度実施することが理想です。また、色調によっては変色や褐色を起こす場合もあるため、洗剤、剥離剤を使用する場合は、あらかじめ目立たないところで異常の有無を確認してから作業を実施します。

 

洗剤、剥離剤を長時間放置すると床材にダメージを与えることがあるため、一度に広井範囲には塗布せず、20~30m2ずつ作業を行い、作業開始から20分以内に汚水を回収します。汚水が床面に残留すると、造膜しづらくなるだけではなく、リノリウム床材自体にも変色などの影響が出る場合もあり、注意が必要です。

 

リノリウム床材の上に設置したゴム製品や、下地に残された防蟻剤、下地補修剤、家具の塗料などに由来する化学物質が、時間の経過とともにリノリウム床材を汚染することがあります。このような汚れは、通常の洗浄では処理することはできません。また、リノリウムは製造時には亜麻仁油の酸化膜により黄色味を帯びています(フィルム現象)。

 

この黄色には太陽光や蛍光灯の下で短時間で退色し、本来の選んだリノリウムの色に戻ります。これは素材がもつ特性であり、品質上の劣化ではなく、汚れもないので、無理に洗浄しようとしてはいけません。長時間日陰になっている個所や、家具の下なども黄色がかってくることがありますが、太陽光に当てると元に戻るので心配無用です。

 

医療・老健施設でも多く採用されているリノリウムですが、万が一リノリウムの床を油性ペンでこすってしまったら…。そんなときは慌てずにスチールウールで軽くこすって見て下さい。リノリウムは練り製品なので、削っても色が剥げることはなく、下から同じ模様が再現されます。ただし、コルクを材料に使った製品は、色が染み込まないためコルクの色が出てしまいます。また、削ると表面のワックスは削れてしまうので、再度塗布するなどの対応が必要です。

 

日ごろはドライモップ使用の乾拭きでよいのですが、頑固な汚れが付着してしまった場合は、固く絞った濡れ雑巾や中性洗剤を使って拭いて見て下さい。ただし、リノリウムは強アルカリに弱く、リノリウムが損傷する恐れがありますので、強アルカリ性洗剤は使用しないことが鉄則です。